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Dec 6, 2010

「アバンチュールはパリで」ホン・サンス監督

밤과 낮 Night and Day
홍상수 Hong Sang-Soo
韓国ドラマ「国家が呼ぶ」にでていたキム・サンギョンの出演作を調べていたら、今年の前半に公開された映画(「夏夏夏」ハハハ)がカンヌで賞をとっていた。
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=6&ai_id=115095
http://www.kntv.co.jp/news/?p=35934
この作品のホン・サンス監督、韓国のゴダール、ロメールの従兄弟、ウディ・アレンみたいとか言われてるらしい。とる映画すべて国際映画祭で賞とりまくりだが、商業的には全然成功していない。にもかかわらず、有名俳優がノーギャラでも出たいと熱望している。(主演俳優インタビュー見たら、海外のレッドカーペット歩きたい!みたいな理由っぽかったw でもこの監督の作品に出れば必ず有名映画祭にいけると思われるのってすごい。)

ゴダールとロメールとウディ・アレンって似てたっけ?と思いつつ、そこまで言われるとすごく気になったので「アバンチュールはパリで」鑑賞。これは、ロメールぽいというよりもオマージュ?たぶんゴダールよりもウディ・アレンよりもロメールに似ていると思う。出来心で大麻を吸った画家ソンナムは、警察にばれそうになって、なんとなくパリに逃げる。あてもなく毎日ぷらぷらして夜には韓国に残してきた妻に電話をかけて泣く。その一方、親切な安宿の主人(韓国人)が紹介してくれた若い韓国人女子留学生のことを口説いてみたり。

日付クレジット入りで綴られるこのだらだらパリ生活が一体いつ終わるんだろうとこちらも不安になる。画家ソンナムが本当に情けない男で、ちっとも感情移入できないけど、でもなぜか嫌いになれない。人間のずるい部分やいやらしい部分、みじめったらしい部分を責めるわけでもなく、正当化するでもなく淡々と。気になったのがズームが多かったことで、あれは一体なんだったんだろう?ものすごく多かったのでなにか意図があるのだと思うんだけど…。すごく面白いわけでもないんだけど、つまらなくもない。他の作品も見てみたい。

それにしてもこの邦題…。タイトルのほか、映画紹介文などにもスタイリッシュなラブコメディとか書いてあるのを見かけたんだけど、どこが?人間の情けない部分を淡々と2時間半描いた映画ですとも言えないから、宣伝のためしかたなくそういうことを言ってるのか、本気でそう言ってるのかよくわからない。

ホン・サンスについて調べていたら杉野希妃というスターダスト女優のブログにたどりついた。この人何者?キム・ギドクの映画に出てたり、自分で映画(ヤン・イクチュンとキム・コッピ出演!)作ったりしてるんだけど…
http://www.stardust.co.jp/profile/suginokiki.html
http://ameblo.jp/kiki-sugino/entry-10677169522.html#main

Apr 27, 2010

「息もできない」 ヤン・イクチュン監督

똥파리 Breathless
양익준. Yang Ik-Jun
韓国映画「息もできない」。原題は「糞蝿」というものすごいタイトルだが、タイトルとは正反対の最高に美しい映画。すごくよかった!どうしようもないチンピラが勝気な女子高生と出会って少しずつ変わっていくが…というお話。

冷静に振り返ってみると、映画の構成は荒削りで、冗長な印象もあるのだけど、それを上回る面白さ。全体にあふれる感情の爆発に見ている方も巻き込まれてしまう。政治的・思想的な背景に引きずり込まれそうなテーマにもかかわらず、そうなっていないところが新しい。監督は88万ウォン世代?(386世代の次の世代)だからかな。相変わらず、韓国映画の俳優はみな素晴らしくて、監督で主演のヤン・イクチュンは、本当にこういう人なのかと思ってしまうほど (でも、あとでインタビューなど見ると役柄とは全然違ってかわいらしい人)。女子高生役のキム・コッピ、あのふくらはぎの太さにやられた。それにしても、 この映画、韓国の人から見て、どの程度のリアリティがあるものなんだろうか。

この映画について友達と話していたら「竜二」というキーワードが出てきた。この映画見終わった後、私が思い出したのも「竜二」のオマージュ作と言われている長渕剛の「とんぼ」というドラマ。で、早速「竜二」を見てみた。金子正次監督の鬼気迫る演技と政治や時代的背景などはあまり感じさせず、人間の業と心の底を描いているところに「息もできない」と通じるものを感じた。



Dec 28, 2009

「誤発弾」ユ・ヒョンモク監督

『誤発弾』ユ・ヒョンモク監督(1961年)

http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=147
以下引用
[あらすじ]
韓国におけるこの古典的な作品は、金銭問題や変動する社会の混乱に苦悩する公認会計士の人生を描く。彼は、精神を病んだ母、栄養失調の妊娠した 妻、トラブルばかり起こす弟、アメリカ人兵士を相手に売春している妹を支えなければならないという重荷を背負う。ユ・ヒョンモク監督追悼上映
引用終わり
韓国では、韓国映画ベスト10やれば必ず入るという名作。日本映画でいうと何にあたるのかな。ベストって本当にみんなが見てるもの(ジブリとか?)と名前はよく聞くけど見たことないものと両方あるけど、どっちなんだろう。たとえば私は黒澤明の「七人の侍」とか見たことないわけで…(見よう)ユリイカの韓国映画特集(2001年)を古本屋で買って読んだり、NHKの番組(「韓流シネマ 抵抗の系譜」)見て気持ちが高まっていたところ、タイミングよく今年10月の東京国際映画祭にて上映。
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/tue/0905.html
http://tvs.uah.jp/tv/view/entry-2376.html
http://www.amazon.co.jp/dp/4791700813

面白かった!質感はヨーロッパ映画のようで、セリフ回しは演劇風でもある。フィルムの状態が悪く(奇跡的に米国で発見されたもの)夜の街を車でさまようシーンなどは、これがきれいな映像だったらさぞ感動的だったろうに!と思った。それでも、暗闇に光るネオンサインなどは印象的。アパートの内装が妙におしゃれな一方、貧民街はすごくリアル。セットではなく、本当のあばらやなんだろう。あちこち街をさまよう登場人物たちをおうカメラは当時のソウルの街の様子を映し出す。

事前に読んでいたあらすじや断片的なシーンをテレビで見た限りでは不条理劇?こんなわかりにくそうな映画がオールタイムベストって韓国すげえな、渋すぎるだろとか思っていた。でも、実際見てみると確かに独特な雰囲気をもつ映画なのだけど、不条理って感じでもなく、ちゃんとドラマがあった。それでもこれがベストってやっぱり渋い。最初にどーんとロダンの考える人がでてきて、ええ!?となるんだけど、 その後も印象的なシーンが続々と。それぞれの強烈なシーンが特に後につながることもなくさらりとスルーされるのもおもしろい。夜の街のシーンは、「死刑台 のエレベーター」みたいだなあと思った。監督自身は、上のNHKの番組でイタリアのネオ・レアリスモをやりたかったと言っていたが。

上映後は、松江哲明監督と田中文人監督のトークショー。ユ・ヒョンモク監督に田中監督が聞いた話を中心に。1961年当時、外国映画を見ることは難しかったが、在日の人が送ってきていた「キネマ旬報」を自主翻訳したものが出回っていた。韓国では、日本と違って、大手の映画会社というものはなく、基本的に自主映画と同じように1本1本独立資本で制作後上映映画館を探さなくてはならなかった(これは今でもそうらしい)。田中監督は、この時代の映画をいろいろ見てみたけど、他の作品はセットの中の陳腐なドラマで、「誤発弾」のようなオールロケの作品はなかった。その意味で韓国でオールタイムベストに選ばれるような鮮烈な印象を観客に与えたのではないかとのこと。

田中監督の師匠である岡崎宏三カメラマンに「誤発弾」を見せたら、車を走らせながら、車中と外の風景を写したシーンなど、ハンディカムのない時代 によく撮っているねと言っていたそう。たぶん車内のシーンはカメラマンと役者だけで監督は見ないで撮っているだろうと。(「誤発弾」のカメラマンは金学成という人で、この人についてのドキュメンタリーを田中監督が制作している)

2005年にフィルムセンターで大規模な特集上映をして、ユ・ヒョンモク監督自身も来日している。当時はまったく興味なかったので、残念だけどしょうがない。ちなみにユリイカの特集のほうは2001年。「シュリ」が1999年、「JSA」が2000年、「猟奇的な彼女」が2001年。その当時、 日本では(それまで特に気にかけていなかった)韓国映画の発見のようなとらえ方をされていたような気がする。10年後のいま発見どころか、日本映画よりも 活気があって、世界的な成功もおさめているわけで。現在につながる韓国映画の古典を見られてとてもよかった。現在、なんと増村保造「盲獣」をユ・ヒョンモク監督が リメイクした作品を修復中とのことでもしかしたら来年の映画祭ではこれが見られるかもとのこと。すごそう。楽しみ。
http://www.tiff-jp.net/report/daily.php?itemid=1214
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2005-12/kaisetsu.html
http://www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/yuhyonmok_gohatsu.html

I saw Korean old movie "Obaltan" (1960) aka The Aimless Bullet directed by Yu Hyun-mok at Tokyo International Film Festival. I've heard it's very famous film in Korea. It had so unique atmosphere by mixture of European film style and Korean passion. I was impressed by the street of Seoul in the post Korean war period.
http://en.wikipedia.org/wiki/Obaltan

Dec 22, 2009

「母なる証明」ポン・ジュノ監督


渋谷シネマライズの上映が11日までだったのであわてて見に行ってきた。他の映画館では、まだやってるみたいだけど、もう終わりそう。ポン・ジュノは「殺人の追憶」「グエムル」の監督。この二作はDVDで見たので、今回は上映期間中に映画館でどうしても見たかった。

いやー恐ろしい映画。見てる間じゅう、ずーーーーーっと震えてた。うわーうわーって脳内で叫びつつ。事前のあらすじ紹介でわかっていることは、「ある街で女子高生が殺される。容疑者として拘束された息子の無実を証明するために、母親がひとり立ち向かう」というもの。ネタバレ厳禁らしいのだけど、私、ネタバレ平気な方なんですよ。で、いまどきネットじゃネタバレなんて余裕で読める。なのに、この映画に関しては、ネタバレ感想が不思議と見つからず、私もまんまとネタバレ読まずに映画を見たのでした。で、見てわかった。

ネタバレっていうか、もうそういうレベルじゃないわー。見た人がネタバレとして感想を書かない、というか書けないのもよくわかる。実は◯◯でした、みたいな話では全然ない。実際、上のあらすじの通りなんですよ。それ以上につけくわえることはあらすじとしてはない。でも、予想とまったく違う映画。最初の数分でうわこれ思ってたのと全然違うわ!ってすごくびっくりして、それから後もずーーっとびっくりしっぱなし。ストーリーも映像もウォンビンもキム・ヘジャもすべてが驚き。母と子の愛情物語というか、ホラー、サスペンス、ミステリーといったものに近く、思い浮かんだのはエルロイの小説。フィルムノワール。街のにおいが感じられるくらいの質感をもった映像。

韓国のキムタクと言われていたアイドル俳優ウォンビンが、5年ぶりの復帰作にこの映画を選んだのもすごいし、韓国ドラマの愛情深い母親役として誰もが知ってるキム・ ヘジャがこの母親役をやってるのもすごい。で、また脇役が全員すばらしい。この間見たイ・ボムスの映画でも思ったのだけど、いったいどこからこんな子つれてきたのよっていうリアルさ。それにあわせるかのように、ウォンビンもキム・ヘジャも友人役のチングもドラマで見る時とはまったく違う顔なんだよねー。 やーポン・ジュノ恐ろしい人!

気づいたのだけど、「殺人の追憶」でも「グエムル」でも「母なる証明」でも女子学生が殺されるんだよね。これは一体どういう意味があるんだろう?毎度毎度見ては強く打ちのめされるのに、また次も見たいと強く思わされるし、なぜか後味は悪くない不思議な映画たち。いつも思うんだけど、ファスビンダーに韓国映画と韓国ドラマを見せたかったなあ。絶対好きだと思う!

"MOTHER" directed by Bong Joon-ho
I saw the Korean movie "Mother" directed by Bong Joon-ho. Bong Joon-ho is the director of Gwoemul" (2006) aka "The Host"  and "Salinui chueok" (2003) aka "Memories of Murder". I watched them on DVD. So, I wanted to see his new film on screen.  It was a heart-pounding frightening movie! I trembled with fear and a feeling of tension.

The story goes like this. A high school girl is killed in a certain town. To prove the innocence of the son arrested as a suspect, his mother struggles to find the real killer.

It's not just mother's love story. It's mystery, suspense or horror movie like Hitchcock's or Ellroy's. It brought endless surprises to me. Korean star actor Won Bin played a difficult role as an mentally unbalanced son. He never gave his aura as star. Kim Hye-ja was known as kindhearted mother in many Korean dramas. Her outstanding act in this film is completely different in these dramas. That goes for Won Bin and Jin Goo. Bong Joon-ho shows amazing ability.

And now, I found that in all of these films "Mother,"  "The Host" and "Memories of Murder," a young girl is killed. What does that mean?

Fassbinder should have seen Bong Joon-ho's movies!!! I bet he likes those.

Jun 20, 2008

Director Bong Joon-ho


The Bong Joon-ho Page

I saw the korean movies "Gwoemul" (2006) aka The Host (English title) and "Salinui chueok" (2003) aka Memories of Murder (English title) which are blockbusters in South Korea. These are great movies. Director Joon-ho Bong is a South Korean movie director. I think he is one of the most important directors in our ages.

"Memories of Murder " is a crime film and "The Host" is a monster film but these are genre-straddling and reveal the darkness in this world with historical and political backgrounds sharply. There are many metaphors in these movies, especially suggested civic movements like Gwangju Democratization Movement indirectly.

But they aren't too serious, even humorous in some situations. They leave us the lasting impression. I don't know why but I don't feel gloomy, though they don't have happy endings.

http://en.wikipedia.org/wiki/Gwangju_Massacre
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Host_(film)
http://en.wikipedia.org/wiki/Memories_of_Murder