Mar 20, 2010

「きみのみらい・みらいのきみ」公開記念トークイベント

「きみのみらい・みらいのきみ」公開記念トークイベント@日本科学未来館http://www.miraikan.jst.go.jp/spevent/yourfuture/
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/100205124187.html
行ってきました。いま40歳以下の人で、かこさとし(加古里子)の絵本を読まずに大人になった人はいないんじゃないかな。たくさんある絵本については、それぞれの心の中に思うところがあると思うので、もう何も言いますまい。ただ、あまり知られてなくて、私の大好きな本があるので1冊だけ。「科学者の目」という本。この本は、私が小学校高学年の頃に読んだ本ですが、いまだに読む度に胸がいっぱいになる。かこさんの熱い思いが絵本よりダイレクトに伝わってくる素晴らしい本。ぜひ一家に一冊。自分の人 格を形成した数冊の本があるとすれば、間違いなくこの本をそのひとつとしてあげると思う。
http://www.amazon.co.jp/dp/4494026360
http://www.kanshin.com/keyword/370364

講演は素晴らしくて、聞いている間ずっと感動でうるうるしていた。この講演、みんなにも聞いて欲しいなあ、子供にも聞かせたいなあ、でもあの高齢 で全国回るのも限界あるだろうし、とか思って、はたと気づいたんだけど、実は講演なんて必要ないじゃないか、私たち子供の頃から十分かこさんの思いを受け取っているし、かこさんが死んだ後もずっとずっと絵本によって未来の子供にもわかりやすく伝えていけるじゃないか、とも思った。それってほんとにすごいことだよねー。偉業とはこのことを言うのだろう。(とはいえ、せっかくの講演。動画配信とかしてもらえないのかしら)

講演内容は別にまとめるとして、まずかこさんがどうして絵本を書き始めたかの話。サラリーマン時代の川崎の子ども会での活動がきっかけだったという話は以前にも何かで読んだことがあったのだけど、それよりももっともっと深い動機。かこさんは、子供の頃、自然や絵が大好きだった。もっといろんなこと が知りたくなって、本もたくさん読みたかったけれど、家が貧しくて文化的なものに触れることができなかった。だから学校の図書室に通ってたくさん本を読むようになった。同時に、かこさんはトンボが大好きでその結果飛行機にも興味をもつようになった。その時代、飛行機に乗ろうと思ったら軍人になるしかない。 そう思ったかこさんはばりばりの軍国少年となり、図書室に通うような軟弱なことではいかん!と思いこみ、図書室通いを封印してしまった。結局かこさんは視力が悪かったために軍人になることはできなかった。しかし、士官学校へ行った友達、軍人になって飛行機に乗った友達は死んでしまった。

かこさんは「時代がどうのとかそんなことは関係ない。誰のせいでもない、自分自身が図書館に行くのをやめて、ちゃんと知識を得なかったせいで、世界のことをよく見ないで間違った判断(軍人になろうと思ったこと)をしてしまった。自分のように間違った判断をしないように子どもたちを賢く育てないといけない。軍人になろうとしてなれずに生き残った自分がやるべきことはそれだ」と思った。そして、どうやったら子どもたちに自分の話を聞いてもらえるか一生懸命考えた。面白くてわくわくする、トンボやザリガニに負けない絵本を作ろうとがんばった。子供たちはああしろこうしろなんて言わない、面白ければ話を聞いてくれるし、面白くなければぷいっと外に遊びに行ってしまうだけ。すごくいい先生だった。だから、自分の本が面白いと言ってもらえるのは、自分の才能な んかじゃなくて、子供たちがそうやって教えてくれたおかげ。

とりあえずここまで。あの読んでいるとうきうきと心が弾んでくるかこさんの絵本の誕生にこのような贖罪の意識が関係しているとは知らなかった。物事の本質を追求すること。ほんとうのことを知ろうとすること。伝えようとしてたことはこのことだったんだね。講演の内容はまたまとめます。

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