Dec 28, 2009

「誤発弾」ユ・ヒョンモク監督

『誤発弾』ユ・ヒョンモク監督(1961年)

http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=147
以下引用
[あらすじ]
韓国におけるこの古典的な作品は、金銭問題や変動する社会の混乱に苦悩する公認会計士の人生を描く。彼は、精神を病んだ母、栄養失調の妊娠した 妻、トラブルばかり起こす弟、アメリカ人兵士を相手に売春している妹を支えなければならないという重荷を背負う。ユ・ヒョンモク監督追悼上映
引用終わり
韓国では、韓国映画ベスト10やれば必ず入るという名作。日本映画でいうと何にあたるのかな。ベストって本当にみんなが見てるもの(ジブリとか?)と名前はよく聞くけど見たことないものと両方あるけど、どっちなんだろう。たとえば私は黒澤明の「七人の侍」とか見たことないわけで…(見よう)ユリイカの韓国映画特集(2001年)を古本屋で買って読んだり、NHKの番組(「韓流シネマ 抵抗の系譜」)見て気持ちが高まっていたところ、タイミングよく今年10月の東京国際映画祭にて上映。
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/tue/0905.html
http://tvs.uah.jp/tv/view/entry-2376.html
http://www.amazon.co.jp/dp/4791700813

面白かった!質感はヨーロッパ映画のようで、セリフ回しは演劇風でもある。フィルムの状態が悪く(奇跡的に米国で発見されたもの)夜の街を車でさまようシーンなどは、これがきれいな映像だったらさぞ感動的だったろうに!と思った。それでも、暗闇に光るネオンサインなどは印象的。アパートの内装が妙におしゃれな一方、貧民街はすごくリアル。セットではなく、本当のあばらやなんだろう。あちこち街をさまよう登場人物たちをおうカメラは当時のソウルの街の様子を映し出す。

事前に読んでいたあらすじや断片的なシーンをテレビで見た限りでは不条理劇?こんなわかりにくそうな映画がオールタイムベストって韓国すげえな、渋すぎるだろとか思っていた。でも、実際見てみると確かに独特な雰囲気をもつ映画なのだけど、不条理って感じでもなく、ちゃんとドラマがあった。それでもこれがベストってやっぱり渋い。最初にどーんとロダンの考える人がでてきて、ええ!?となるんだけど、 その後も印象的なシーンが続々と。それぞれの強烈なシーンが特に後につながることもなくさらりとスルーされるのもおもしろい。夜の街のシーンは、「死刑台 のエレベーター」みたいだなあと思った。監督自身は、上のNHKの番組でイタリアのネオ・レアリスモをやりたかったと言っていたが。

上映後は、松江哲明監督と田中文人監督のトークショー。ユ・ヒョンモク監督に田中監督が聞いた話を中心に。1961年当時、外国映画を見ることは難しかったが、在日の人が送ってきていた「キネマ旬報」を自主翻訳したものが出回っていた。韓国では、日本と違って、大手の映画会社というものはなく、基本的に自主映画と同じように1本1本独立資本で制作後上映映画館を探さなくてはならなかった(これは今でもそうらしい)。田中監督は、この時代の映画をいろいろ見てみたけど、他の作品はセットの中の陳腐なドラマで、「誤発弾」のようなオールロケの作品はなかった。その意味で韓国でオールタイムベストに選ばれるような鮮烈な印象を観客に与えたのではないかとのこと。

田中監督の師匠である岡崎宏三カメラマンに「誤発弾」を見せたら、車を走らせながら、車中と外の風景を写したシーンなど、ハンディカムのない時代 によく撮っているねと言っていたそう。たぶん車内のシーンはカメラマンと役者だけで監督は見ないで撮っているだろうと。(「誤発弾」のカメラマンは金学成という人で、この人についてのドキュメンタリーを田中監督が制作している)

2005年にフィルムセンターで大規模な特集上映をして、ユ・ヒョンモク監督自身も来日している。当時はまったく興味なかったので、残念だけどしょうがない。ちなみにユリイカの特集のほうは2001年。「シュリ」が1999年、「JSA」が2000年、「猟奇的な彼女」が2001年。その当時、 日本では(それまで特に気にかけていなかった)韓国映画の発見のようなとらえ方をされていたような気がする。10年後のいま発見どころか、日本映画よりも 活気があって、世界的な成功もおさめているわけで。現在につながる韓国映画の古典を見られてとてもよかった。現在、なんと増村保造「盲獣」をユ・ヒョンモク監督が リメイクした作品を修復中とのことでもしかしたら来年の映画祭ではこれが見られるかもとのこと。すごそう。楽しみ。
http://www.tiff-jp.net/report/daily.php?itemid=1214
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2005-12/kaisetsu.html
http://www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/yuhyonmok_gohatsu.html

I saw Korean old movie "Obaltan" (1960) aka The Aimless Bullet directed by Yu Hyun-mok at Tokyo International Film Festival. I've heard it's very famous film in Korea. It had so unique atmosphere by mixture of European film style and Korean passion. I was impressed by the street of Seoul in the post Korean war period.
http://en.wikipedia.org/wiki/Obaltan

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